NSW州の労災申請について
Q. 仕事が原因でひどい腰痛に悩まされています。病院で診てもらったところ、労働災害の請求(WorkCover claim)が出来ると言われたのですが、労災請求の手続きとはどのようなものか教えてください。
A. 勤務中、あるいは休憩中や通勤途中にケガを負った人は労災の請求をすることが出来ます。NSW州の労災請求には(1)Statutory claimと(2)Common law Claimの二種類ありますが、今回は(1)Statutory claimについて簡潔に説明します。
1. 補償手当ての申請は誰ができますか?
労災法上、労働者とみなされる人が労働によりケガをした場合はケガの原因に関係なく、労災法に基づいて補償手当ての申請が可能です。一般的には、雇用者から給料をもらっている、定時の労働が決められている、監督下にあるといった方は労働者と解釈されます。その他にボランティアやワーク・エクスピリエンスの学生が対象となる場合もあります。
2. 申請方法
労災の申請は雇用主が加入している労災保険会社に対して行います。この申請を開始するには、まず雇用者にケガの報告をし、医師に労災用の診断書(WorkCover certificate of capacity)に記入してもらいます。診断書はWorkCover NSWのウェブサイトから入手することができ、フォーム内の労働者の申告書に必要な情報を記入し、医師の診断書と共にEmailやFaxで提出という流れになります。
3. 労災保険会社・WorkCoverによる審査
労災申請の受諾が確認された後、保険会社の審査が始まります。審査には通常1~2週間かかり、この間、保険会社・WorkCoverはケガの発生状況についての調査を行ったり、別の専門医の診察を受けるよう申請人に指示することがあります。その後、申請人が「労働者」であるか、「ケガ」を負ったかどうか、申請人の負ったケガに雇用が大きく貢献しているかといった点を基準に労災手当ての支給の判断が下されます。審査の結果については保険会社よりその旨の通知がされます。もし判断結果に納得がいかない場合は更に審査の再考を願い出ることが出来ます。
4. 労災の補償手当て
労災補償手当ての受給資格があると判断された場合、申請人は賃金手当て、治療費、交通費、リハビリの費用、復職サービス、及び、身体障害が残った場合の補償金などを受け取ることが出来ます。受給期間の決定にはケガの程度や回復の状況などが考慮されます。但し、この補償手当てには通勤途中に起きた事故の車両への物損や保険会社・WorkCoverの許可を得ていない入院費用等は含まれないので申請の際には確認が必要です。