キャッシュジョブと休業補償

給与の支払いが現金渡しの、いわゆるキャッシュジョブの場合、事故や労災による休業補償が得られない、と思っていませんか?今回はキャッシュジョブと休業補償の注意事項をご説明いたします。

キャッシュジョブは違法か?
給与を現金で受け取ること自体は違法ではありません。しかし、給与を意図的に現金で支払うことにより、雇用主が法に基づいた税金や年金の支払いの義務から逃れている、法定最低賃金を支払っていないことが多いのも事実です。

給与明細(Pay slip)は受け取っているか?
雇用主は給与を現金で支払う場合でも、毎回給与明細を出すことが義務付けられています。
給与明細に下記の内容が記載されているか確認してください。

• 雇用主の名前と雇用者の名前
• 雇用主のAustralian Business Number (ABN)
• Pay Period (支払期間)
• Pay Date (支払日)
• Gross Pay (税引き前の給与)
• PAYG Withholdings (源泉徴収された税額)
• Net Pay(税引き後の給与)
• Employer Superannuation(退職年金)

休業補償の申請
休業補償の請求には過年度のタックスリターンと事故時から6か月ほど遡った期間に受け取った給与の証明が必要となりますので、給与明細を受け取っていれば、休業補償の申請もスムーズに行うことができます。
給与明細が一切発行されていない場合でも、他の手段で収入を証明し休業補償を請求することが可能です。例えばABNにて自営業扱いでお仕事されている方は、勤務先に提出したインボイスのコピーや勤務先からの入金が確認できる銀行口座の明細等を提出して、収入を証明することも可能です。ただし、給与明細等が全て揃っている場合と比べて、認められる補償割合が低くなってしまうことや、過去のタックスリターンと照らし合わせた結果、辻褄が合わない金額の場合は一切認められないこともあるので、要注意です。

労災(Workers Compensation)に加入していない場合
労災は、従業員数、支払った給与の金額で計算されます。給与の支払いを現金払いにすることで、これらの数字をごまかし、労災にきちんと加入していない可能性もあります。
労災に加入するのは雇用主の義務なので、従業員が労災を申請できないということは原則ありません。ただし、適正な労災が手配されていないことにより申請手続きが困難になり、休業補償の申請が出来ないケースがあります。

まとめ
キャッシュジョブでも休業補償の申請は可能です。重要なのは事前に雇用主が労災に加入しているか確認することと、休業補償申請に必要な収入証明がすぐに出来るよう給与明細(Pay slip)をもらっておくことです。