NSW反差別局(Anti-Discrimination Board of NSW)への苦情申し立て

NSW州の反差別法に規定される差別行為、嫌がらせや中傷を受けた場合、NSW反差別局(Anti-Discrimination Board of NSW)に苦情を申し立てることが出来ます。差別と聞くと人種差別と捉えられがちですが、反差別法に規定される差別や嫌がらせは多岐にわたり、年齢、障害、人種、ジェンダー、トランスジェンダー、ホモセクシュアルを理由とした差別やセクハラ等も含まれます。

• 苦情申立方法
苦情申立はウェブサイトからダウンロード出来る所定のフォームかレターにより可能です。申請費用等は一切ありませんが、差別行為があったときから12か月以内に申し立てなければいけません。反差別局は差別があったか調査を行い、当事者間の協議によって問題解決が出来るようサポートします。

• 反差別局が対応した苦情申立のケース例

妊婦への差別 – 雇用主に妊娠を伝えたところ、雇用主の彼女への態度が変わりストレス休暇の取得を余儀なくされる。反差別局が事情聴取を行った結果、現職への復職は難しいと判断されたため、有給休暇の払い戻しと転職活動支援のために雇用主が実績証明書を渡すことが合意された。

トランスジェンダーへの差別- トランスジェンダーの女性が上司より口頭で奇人(weirdo)は雇いたくない、と言われ後に職を解雇されたため反差別局に苦情を申し立てる。彼女の他に会社から解雇された者がなく、後日彼女のポジションが人材募集にでていたことなどから差別があったと判断される。雇用主である会社は反差別に関連する社内規定の見直しを行い、彼女に$4000を支払った。

障害者への差別 – 知的障害のある女性がとある銀行でチェック口座を開設しようとしたところ拒否された。反差別局が銀行の本社に連絡したところ、銀行側は女性の口座開設に合意し、支店に対しては公平なカスタマーサービスをするよう指示した。

反差別局に苦情を申し立てた人に、あるいは苦情申し立てを助けた者に罰を与える、不当に扱う、嫌がらせをする事は違法行為に当たります。正当な苦情申し立てが阻害されるような場合は至急、反差別局に連絡すべきでしょう。